「農ハウ2007in岩手」開催に当たり、東北大医学部教授の伊藤貞嘉氏に「生活習慣病と食」について聞いた。
東北地方は一般的に、濃い味付けを好むといわれる。しかし今は東北に限らず、日本全体で塩分の摂取量が多い。ハム・ソーセージやパン、うどんなどの加工品に含まれている上、カロリーや塩分過多となりがちな外食の機会もある。
生活習慣病とは、こうした食事や運動、飲酒など生活習慣がかかわって発症する病気。高血圧や糖尿病のほか肥満、がんなども含まれる。生活習慣を改善して病気にならないようにするのが基本的な考え方だ。子々孫々、現状と同じ食習慣を続けていたのでは、脳卒中になる頻度も高くなる。長寿でも「寝たきり大国」であってはならない。
私たちが親しんできた食生活を見直してはどうか。薄味に慣れることが大切で、煮物などは、だしだけで煮てしまう。つけじょうゆで食べると、塩分の摂取量が少なくてすむ。焼き魚には酢を使ってもいい。まずは塩分を含む食品の摂取量を半分にする。大変だが、地道な努力が欠かせない。
日本人はもともと諸外国と比べて脳卒中が多いが、最近では心筋梗塞(こうそく)や糖尿病も増えている。糖尿病は血管の病気。私たちの血管は低い血圧に対応できるようにできている。しかし、高血圧や糖尿病では、命に大切な一番弱い血管からダメージを受ける。私たち人間は進化してきたが、動物が持っている宿命を背負って生きている。自然の摂理に背いてはいけない。
食の安全性は重要な問題。海外からの輸入品も増えている。薬でいえば、ジェネリック(後発医薬品)は確かに安いが、品質を担保するために必要な経費はかけなければいけない。医療も食も健康に直結することだけに、安ければいいという風潮に流れるのは残念なことだ。
子どもは次の世代の財産。親がきちんと健康や食事に気を配り、また学校でも教えるべきで「食育」は非常に大切なことだ。私自身が農家の長男で、幼いころから田んぼや畑仕事を手伝い育った。国際競争力が必要な部分はあるだろうが、食の安全は何ものにも代えがたい。生命が守られる農業であってほしい。
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