新潟県・新潟日報『伝統野菜復権に取り組む「長岡野菜ブランド協会」(新潟県長岡市)』
長岡野菜の食用菊「おもいのほか」。食用菊は新潟市白根地区などで「かきのもと」、山形県で「もってのほか」の名前で栽培されている。しゃきしゃきとした食感とほのかな香り、甘みがある
ぼてっとしていてピーマン似、独特の辛みが特徴の「かぐらなんばん」が新潟県長岡市の青果店や直売所に並ぶ。同市の流通業者、生産者らでつくる長岡野菜ブランド協会認定の「長岡野菜」の一つだ。
トウガラシの一種。今年は長雨後の日照りで不作というが、十月ころまで出荷が続く。なすとのみそ炒(いた)めや、辛さと甘みが絶妙な「かぐらなんばんみそ」などに調理され、食卓に上る。
夏から十月にかけて出回る大振りの「長岡巾着(きんちゃく)なす」も揚げ浸し、蒸しものとして楽しむ長岡野菜の代表格だ。
信濃川のほとりで長年栽培され、風土に培われてきた伝統野菜だけに、安全への信頼感が根っこにある。
協会は「伝統的で長岡独特」「長岡で格別おいしくできる野菜」などの基準でズイキ、糸ウリなど十三品目を「長岡野菜」に認定している。
旬を迎える食用菊「おもいのほか」は、県園芸研究センターに保存されていた原種を「里帰り」させ、同市才津地区などの生産者が栽培に乗り出し四年になる。
同協会会長の鈴木圭介・長岡中央青果社長(63)は「地域の野菜文化、食文化を掘り起こす運動」と話す。
「加賀野菜」の仕掛け人でもある野菜研究家の江沢正平さん=東京都=との「なす談義」がきっかけ。しっかりした身が自慢の巾着なすを食べてもらったところ、江沢さんが評価。長岡野菜づくりへ背中を押した。
鈴木さんは市内の種苗会社社長、農業改良普及センター所長と長岡野菜研究会を一九九八年に発足。2003年に設立した協会の前身となった。
在来野菜の歴史を調査。作り手を増やす一方で、消費者へPRにも努める。和洋さまざまな調理で楽しむ会や料理教室開催などの活動を重ねている。
市外の客をもてなす料理に、長岡野菜を取り入れる割ぽうや飲食店が増えてきた。学校給食にも昔ながらの「煮菜」など伝統食が上る。鈴木さんは「子供たちに味覚をしっかり残したい」と、学校に招かれて野菜や植物について語る。
作りやすさ、見た目の良さ、大量生産が求められるうち、野菜が「食べ物でなく商材になってしまった」。本来のおいしさや安心・安全、食文化伝承という基本に返り、農業と食卓をつなぐ運動は「生産、消費の両サイドを見ることができる卸だからこそ可能な仕事だし、大事な役目」と受け止める。
長岡野菜の市場出荷額は年間1億円足らず。「商売としては失格でしょうね。地道にやっていく」と鈴木さん。「底辺からの需要が伸び、市場で売れ始めれば、作ってみようかという農家も出てくる。それは楽しい現象」。今後、巾着ナスのみそ漬けなど加工も試みる。
長岡野菜ブランド協会事務局は長岡中央青果内、0258(46)7317。
長岡野菜を使った料理やデザートの試食会。
楽しみ方を提案しながら地場野菜の生産、消費拡大につなげる
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