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 宮城県・河北新報社『エゴマの餌で養豚に取り組む加美農高(宮城県色麻町)』
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河北新報社 バケツいっぱいの飼料に茶色の粉末を加え、手際よくかき混ぜる。
 仙台市から北へ約30キロ、宮城県色麻町の加美農高。9月中旬、農業科畜産専攻3年の養豚班が豚舎で作業に励んだ。
 給餌槽に自慢の餌を流し込むと、1頭の豚が勢いよく食べ始めた。「いつもと同じく元気がいい」と養豚班の1人、蘇武拓也君(17)。餌に加える独自の工夫の手応えを確かめ、ほほえんだ。
 加美農高の養豚班は2007年度から、総合実習で豚の餌の研究に取り組んでいる。飼料に加えた茶色の粉末が独自の工夫。正体はすりつぶしたエゴマの実だ。
 「エゴマは、脂肪の燃焼を促進させて生活習慣病の予防に効果があるとされるα-リノレン酸を多く含む。豚にエゴマを食べさせれば、健康に良い豚肉ができるはずです」。養豚班を指導する実習助手高橋仁さん(42)が狙いを説明する。
 2年目の研究を担う本年度の養豚班の生徒4人は、豚の肥育が始まった6月から、1週間交代で餌を与えてきた。10月末には肉質の成分分析調査をしてもらうため、宮城大の研究者に豚3頭を検体として提供する。
 1頭はエゴマを与えない豚。残る2頭はエゴマを与えた豚。検体として提供する1カ月前から1日回、すりつぶしたエゴマの実50グラムを食べさせた豚と、エゴマの搾り油50ミリリットルを与えた豚で肉質の違いを比較する。
 検体の間であまり差が出なかった1年目の反省から、実や殻をそのまま与えず、すりつぶしたり、搾り油にしたりして与える工夫を凝らした。
 「エゴマの与え方で肉質にどんな違いが出るか楽しみ」。メンバーの千葉百合子さん(18)は、来年1月に出る調査結果を心待ちにしている。
 加美農高の地元、色麻町はエゴマの特産化に力を入れている。2000年度、健康食品ブームに目を付け、一部農家が栽培していたエゴマを転作奨励作物に指定した。
 本年度の作付面積は42.2ヘクタール。全国トップレベルを誇る。町は助成金の交付や種子の無料配布を通じて生産の拡大を推進している。町産業開発公社はエゴマを素材としたドレッシングやせんべい、焼酎を開発した。
 加美農高の研究はそうした地元のエゴマ特産化熱を受けた。「地元の特産品を生かした研究をしたい」。今春卒業した養豚班の生徒の自発的な提案から研究は始まった。
 飼料に加えるエゴマは、町産業開発公社が提供している。公社の取締役総括伊藤正さん(45)は「加美農高の研究が進み、エゴマで育てる豚の取り組みが広がれば、町の活性化につながる」と期待を込める。河北新報社  高校生の取り組みはプロの養豚農家にも刺激を与えている。9月中旬の総合実習終了後、養豚班の生徒4人は、色麻町の養豚農家但馬美代子さん(57)方を訪ねた。「エゴマを食べた豚は健康にいい成分を脂肪に蓄えるはず」。4人は研究の経過を熱心に説明した。
 但馬さんは「養豚農家は高齢化が進んでいる。知っている中では自分が一番若い」と危機感を口にしながら、「若い世代が地元の特産品を生かして、新しい養豚に取り組んでいるのがうれしい。今度、加美農を見学してみようかしら」と笑顔で生徒を励ました。
 「エゴマを豚に与える農家が増え、ブランド化につながればいい」「エゴマで育てる豚の知名度が高まれば町のPRにもなる。加美農高だってもっと有名になるはず」
 養豚班の4人と指導する高橋さんは語り合う。いずれは学校の文化祭にエゴマ豚の加工品を出品し、地域の消費者にもアピールする考えだ。
 願うのは、生産者や消費者を巻き込み、養豚を通じて地域を盛り上げること。「しっかり研究を進めて、後輩に引き継ぎたい」。農業高校発の元気が地域を変える。

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