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山形県・山形新聞社『命を作り 命を育て 命を奪い 命を売る-そして命を伝える 蔵王マウンテンファーム・教育ファーム山川牧場(山形県上山市)』
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山形新聞社 「山川さんは悪い人です。命ある牛を売り買いし、次の命を育て、また命を売り買いします。でも、その中でできる牛乳や肉を、みんなは食べているんです」。蔵王連峰のふもとで牧場を経営し、酪農体験教育の受け皿となっている蔵王マウンテンファーム・山川牧場の山川喜市さん(60)=上山市永野=は、体験事業で訪れた小学生たちに、食を支える命の現実の姿をストレートに伝えた。
 30年前から酪農を通じた体験教育の場「教育ファーム」を提供し、子どもだけでなく、教育に携わる大人も含め、多くの希望者を受け入れている山川さん。「家畜とかかわる酪農は自給自足の基本であり、自分の夢でもある。そのことの大切さには気付いていたが、まさか、今こんなに(体験教育を通じ)人間とかかわることになるとは思っていなかった」と振り返る。
 家業の酪農を継ぎながら、蔵王でのスキー指導などを通して教育関係者と付き合うようになったのが、教育ファームに取り組むきっかけだった。「いのちの教育」について、学校現場だけでの指導への限界を感じていた。
 「学校教育の範囲を超えている。いのちの教育は、言葉や文章だけで伝えるのは難しい。体験すること、感じることが大切であり、先生たちの手伝いができればと思った。命を育て、奪い、売り買いする酪農であれば、目の前の現実を通して教えることができる」と話す。
山形新聞社 牧場では、牛にヤギ、ニワトリ、ポニーを飼育。牛乳生産や乳製品の加工販売、ログハウスでのレストランなどを家族で経営しながら、教育ファームでは学校単位などの団体から少人数のグループまで、毎年のように年間約2500人を受け入れている。
 8月7日、山形市立南小学校の児童が通う学童保育クラブの35人が牧場を訪れた。山川さん家族の指導を受け、牛に草を与え、牛舎での乳搾り、子牛に牛乳や水を飲ませるなど、酪農の仕事の一端を体験。「大丈夫?」「近くで見るとかわいい」。子どもたちは、初めての経験にこわごわだったり、それでいて好奇心をかき立てられるように目を輝かせた。
山形新聞社 牧場で搾った牛乳を使い、即席のバター作りにも挑戦。何度も何度も牛乳の入ったペットボトルを振り続けた。「あっ、固まった」。次々に驚きの声を上げ、走り寄ってくる子どもに「その固まり、食べてみろ」と促す山川さん。「すごい、バターだ」。あちこちで歓声が上がった。出来たての手作りバターを持ってきたパンに付けて味わう子どもたちに山川さんは語る。「いっぱい、おいしく食べてください。みんなが食べているものは、動物や植物の命を奪ってできているんです。そのことだけは覚えておいて下さい」
 山川さんは去年、東北地域指定生乳生産者団体、東北生乳販売農業協同組合連合会から、これまでの受け入れ経験を1冊の冊子にまとめた「酪農教育ファームを通して『食育・いのちの教育・環境』を考える」を発表した。「命の大切さに気付いてくれれば、食べ物も大切にしてくれるはず。そして、命と食を支える農業にも目を向けてくれるはずだ」と、命の姿を伝えながら農業の大切さを訴える。

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