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新潟県・新潟日報社『ITから丸茄子づくりへ(新潟県糸魚川市)』
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新潟日報社 新潟県の西端、糸魚川市では転作で始まった丸ナスが、地域ブランド「越の丸茄子(なす)」として定着した。Uターンして3年目の同市厚田、園田岳彦さん(31)も今春からナス作りを始め、担い手に名乗りを上げた。
 越の丸茄子は大ぶりで甘みがあるのが特徴。東京・築地市場で競りに出る前に買い手が付くほどの人気で、高いときは1キロ当たり約1000円まで上がるという。園田さんは「こんなに高く売れる野菜はない。十分、ビジネスになる」と魅力を語る。
 東京都内でIT企業に勤めていた園田さん。故郷でも同様の仕事をするつもりでUターンした。だが、両親のトマト栽培などを手伝ううちに農業へと目が向いた。昨年には畑の脇に建設廃材を使ってドーム型の作業小屋兼直売所を建て、野菜を売る楽しさも実感した。「お客さんからおいしいと言われるのが一番うれしい」
 今春から、地元JAなどが企画した「ミニ農業塾」に参加し、丸ナスの栽培方法を学んでいる。塾では、苗20本の栽培から始めるのが通例だが、園田さんは1年目から自宅のビニールハウスいっぱいに150本の苗を植えた。
 塾長を務める同市西谷内の農家猪股治武さん(72)は「ナスの収穫は朝早く、手入れも大変。高齢化でリタイアが増え、新規参入も続かない人が多い中、彼にはやる気を感じる」と期待を寄せる。  作ってみるとナス作りは難しかった。6月から続く収穫を秋まで維持するには、木の丈を低く保たなければいけない。夏は枝葉の成長も早く「あっという間にぼうぼうになる」。炎天下のハウス内での作業はこたえた。
 今年は好天続きで、野菜は豊作。価格は昨年の半値となった。天候によって収入が大きく左右される体験も味わった。
 それでも園田さんはどん欲だ。8月1日、指導のため畑を訪れた猪股さんに、肥料のやり方などを熱心に聞いた。
 「塾は実際に丸ナスを作ってきた人に、育てる上で大切な堪を聞ける貴重な機会」と話す園田さん。丸ナス作りはまだ1年生だが「糸魚川には土地がいっぱいある。将来は会社を興して大規模農業に取り組むのもいい。仲間を増やして、糸魚川の農業を活性化したい」と夢は膨らんでいる。

新潟日報社園田さんのような世代で、転職を考える就農希望者は増えている。新潟県農林公社が行う新規就農相談会への参加者の半数は30〜40代。担当者は「働き盛りを農業に呼び込むチャンス」と期待を寄せている。
 公社が2007年度に県内や東京、大阪で開いた相談会の参加者は、前年度より2割多い166人と過去最多となった。農業法人の増加や食糧問題への関心の高まりが要因とみられ、公社の高橋友行・青年農業者等育成センター所長は「農業が有力な転職先と認知されてきた表れ」と話す。
 全体の農業人口が減り続ける中、新たな担い手を増やしたい市町村は知恵を絞る。
 津南町は、町農業公社が農地のない就農希望者向けに研修施設を建設。月1万〜2万円で貸し、住み込みで耕作ができるようにした。
 佐渡市の羽茂農業振興公社は、高齢でリタイアする農家の果樹園を預かり、就農希望者の教材に活用。2年間の研修を終えた研修生が果樹園を引き継ぐ例も出ている。
 十日町市山新田集落は五月から、廃校となった小学校の旧教員住宅で滞在型の農業研修を実施。農業経験のない人でも学びやすいよう、個人経営で指導農業士の資格を持つ農家が、ユリの栽培法などを指導している。
 ただ、高い関心が必ずしも就農に結びついていない。新潟県の新規就農者数は年190人前後の横ばい状態。農業法人への就職希望も多いが、肝心の求人数が伸び悩んでいる。昨年の米価の大幅な落ち込みなど、農業を取り巻く厳しい環境が影響しているとみられる。
 高橋所長は「営業経験を生かした販路開拓など、転職者の経験が現状を打開する可能性もある。市町村と連携して転職者を受け入れやすい環境を研究したい」と話した。

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