岩手県・岩手日報社『農への関心高める子どもたち 花巻市大迫町の亀ケ森地域』
花壇の整備をする亀ケ森小の児童ら=花巻市大迫町亀ケ森
花巻市大迫町亀ケ森地区の住民は本年度から始まった国の「農地・水・環境保全向上対策」を期に亀ケ森3・6環境保全組合(高橋嘉雄組合長)を結成した。農道や水路整備に住民一丸となって取り組んでいる。
同組合は、特に地域の子どもたちに農業に関心を高めてもらおうと、花壇整備などに挑戦。地域住民が見守る中で、花の苗植えや草取りなどの合間に、地域の農作物の説明などを行い、子どもたちが地域の主産業へ興味を深めている。
今月3日の活動には小学生10人、地域住民10人が参加した。同町亀ケ森の「清流の駅」に整備された約40平方メートルの花壇で、枯れた花の摘み取りや草取りなどをした後、清流の駅そばの転作田でヒエ栽培を見学した。
花壇の整備では最初、何をすればいいのか戸惑い気味の子どもたちに、住民が「こうすれば花がきれいに見えるでしょう」とアドバイスしながら作業を進めた。子どもたちはサルビアやマリーゴールド、ベゴニアなどがきれいに色づいた花壇の整備に熱心に取り組んだ。
花巻市はヒエやアワなど雑穀の栽培が盛んだ。ヒエ栽培の見学では、高橋組合長が「ヒエは、ご飯に混ぜて食べたりするんだよ」と丁寧に説明。子どもたちは収穫を間近に控え、夕焼けに色づいたヒエの穂を目を輝かせて見詰めた。
伊藤悠菜さん(亀ケ森小5年)は「花の世話など普段はあまりすることがない。いい体験ができた」と笑顔。同校の高橋祐輝君(5年)は「うちでも稲を育てているが、あまり農業について教えてもらうことはない。話を聞くと興味がわく」と耳を傾けた。
「私たちが子どものころは自分たちが食べるくらいは植えなさいと言われた」と振り返るのは花壇の整備作業に参加した伊藤フクさん(58)。「田植えや稲刈りは機械作業。子どもたちの出番は少なくなっている。昔からの農業地域なのに、子どもたちが農業に触れるのは学校での授業がほとんど」と心配する。
伊藤公博さん(74)は「地域でも専業農家はどんどん減っている。子どもたちが農業に触れる機会が少ないのはしょうがないとも感じる」と語る。
それでも伊藤さんは組合の活動のほか、亀ケ森小の畑で、児童がイモやソバを育てる手助けをしている。「組合の活動や学校行事で少しでも農業に触れることで、地域がこうやって農をはぐくんできたんだということを子どもたちの記憶に残したい」と期待する。
同地域の農地面積は約20ヘクタールで、世帯数約80世帯。組合の活動には、地区行事の延長として事業をスムーズに受け入れる素地もあった。同組合は今後、水田でのドジョウ探しなどさらに子どもたちが農業や自然に触れる機会を増やす考えだ。
2005年農林業センサスによると本県の農業従事者は69,000人で、15年前に比べると31%も減少した。高齢化も進んでいる。65歳以上の農業従事者は51%に上り、15年前から倍以上になった。後継ぎが見付からず、耕作放棄地も増えているのが現状だ。
県内の新規就農者は1985年度の232人をピークに減り続け、96年度には64人に減少した。その後は増加傾向にあり、06年度は148人となった。しかし、県の計画では、高齢化や後継者難が進んでいる中で、本県農業を維持するためには年間200人の新規就農者が必要としている。
高橋組合長は「組合の活動を通じて、子どもたちが農業にかかわったという体験を残してあげたい」と強調。幼いころに地域のお年寄りらと農業に触れた機会が後継者育成につながり、地元の農業が再生することを期待している。
ヒエの生育具合を観察する亀ケ森小の児童ら=花巻市大迫町亀ケ森
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