福島県・福島民友新聞社『黄色いハートカボチャ(浜通り地方)』
うららかな日差しが降り注ぐ秋の昼下がり。納屋の土間に並べたカボチャを箱詰めする夫婦の姿があった。宮城県境の福島県新地町にほど近い、田園風景が広がる相馬市椎木の自宅で鹿又昌之さん(74)と妻の恵美子さん(74)は手間をかけて育てたカボチャを次々に段ボール箱に詰め込む。
果皮が薄緑のカボチャで品種は「九重栗」。切り目がハート形になることから、JA全農福島が2002(平成14)年、「黄色いハート」の商標登録を取得してブランドづくりに取り組んできた。
箱詰めした鹿又さんのカボチャ260キロは、今月24日から1週間にわたり香港で開かれる県と独立行政法人の日本貿易振興機構(ジェトロ)福島主催の「ふくしま産品フェアin香港」に出品、販売される。初めての輸出で「黄色いハート」が海外に渡る。県の担当職員は「香港は根菜類を好むので食文化になじむ。販売実績が好調なら、今後の販路拡大にもつながる」と期待を寄せる。
JAそうまの黄色いハート相馬中村支部長を務める鹿又さんは「収穫まで付きっきりで栽培は難しいが、甘くてクリのようなほくほく感があり、とてもおいしい」と胸を張る。
生産しているのは、浜通りのエコファーマー認定農家215人。そうま、ふたば、いわき市の3JAから、同じ規格で出荷している。そうまが九八年から統一した栽培法に取り組み、生産地域が拡大した。本年度の生産農家は、そうま109人、ふたば77人、いわき市29人で、栽培面積は34ヘクタール。JA全農福島浜通り営農事業所によると、出荷量は前年度より20トン多い330トン。
「九重栗」、改良型の「九重栗EX」は北海道を中心に全国で栽培されているが、黄色いハートは大玉で味を良くするため1本のつるから1個のみ実らせ、肥料を含め統一した栽培方式で品質を高めている。果皮が軟らかく傷付きやすいため、生産者はJAや県の栽培指導を受けながら、手入れに精魂を込める。
地産地消の一環として、南相馬市小高区と飯舘村の小、中学校では、学校給食の食材として、カレーやシチューの献立にも利用している。
皮に傷が付いたり、変形したカボチャを有効活用する試みも始まっている。一昨年、農業団体で構成する相双地方園芸振興協議会(会長・会田征男JAそうま常務理事)が企画して、郡山市の酒造会社に原料を提供、東北で初めてカボチャ焼酎の試作品を完成させた。昨年は「ふくしまの黄色いハート」として、相双地方限定で正式に発売した。今年は製造量を拡大して720ミリリットル換算で10,000本の販売を予定している。今月23日には、南相馬市で新酒発表会を開く。
ブランド名は浸透しつつあるが、JAそうまの担当者は「出荷量を多くしてスケールメリットで価格的に安定させたい」と課題を挙げる。生産者と県、JAが一体となったブランドづくりが進行している。
切り口は、鮮やかな黄色のハート形。
クリのような甘みとほくほく感が特徴
納屋の土間でカボチャを箱詰めする鹿又さん夫妻。
香港に輸出され、「黄色いハート」が初めて海外に渡る
Copyright (C) 東北八新聞社協議会
<Back