山形県・山形新聞社 『生産と経営能力養う農大市場(山形県新庄市・県立農業大学校)』
新庄市にある県立農業大学校(村上賢一校長)で毎月1回開かれる「農大市場」。学生たちが手塩にかけて育てた野菜や果物、花などを買い求める“農大ファン”が詰め掛ける。「お客さんの期待と評価が手に取るように分かるから面白い」。その日を楽しみに日々、学生たちは研修と生産活動に励んでいる。
3年前に始まった農大市場。生産と販売活動の場を提供し、経営感覚に優れた農家に育ってほしいとの願いが込められた産直施設が、同校の創立50周年記念事業として、同窓生や職員OBらの寄付で建設された。
農大市場は毎回、大勢のファンが詰め掛け、
生徒たちの農産物は飛ぶような売れ行き
=新庄市・農業大学校
「これからの農業の担い手は、生産だけでなく、加工、流通、販売を一体的に考える力が必要。そんな人材、経営感覚に優れた農業のスペシャリストを育てるためにも『農大市場』は不可欠だ」と、村上校長の言葉に力がこもる。
市場の店頭には、完熟して真っ赤に色づいた、食べごろのトマトや、青々とした野菜、色鮮やかな花々など、学生たちが研修で栽培する数多くの農産物が並ぶ。その“商品”の質の高さを知る消費者が買い求めようと、毎回のようにオープン前から列をつくり並ぶ。人気の秘訣(ひけつ)は、やはり「新鮮さ」と「品ぞろえの豊富さ」。その魅力を知っている消費者は増え続けている。
中玉トマトの栽培に打ち込んでいる園芸経営学科2年の小沼雅登さん(20)。「消費者と直接ふれあうことで、今、何を期待されているかが、ストレートに伝わってくる。貴重なアドバイスを受け、みんな、それに応えようと努力している」と話す。
稲作経営学科2年の縄源太さん(19)も「高い品質の農産物をつくり、いかに売れるものにしていくか、消費者ニーズに沿った売り方も研究している」と意欲を口にする。
生産者と消費者、生産者と生産者など、農大市場での商品売買の経験を重ねていくたびに、その結びつきは深くなり、ネットワークの輪も広がっているようだ。
メーンの佐藤錦の栽培研修に力を注ぐ一方、佐藤錦を中心にした他品種との複合栽培も目標に定める園芸経営学科2年の光石晋さん(20)は「農業、特に果樹は一生勉強であり、常に消費者の信頼を得るという目線でやっている」という。
今年も7月からスタートし、11月までに6回の開催を予定。また、化学肥料の使用を抑えた「特別栽培農産物」も出品し、生産履歴も確認できるようにした。
楽しそうに農大市場の話をする学生たちを見ながら村上校長は言う。「社会から農業があらためて支持されるためにも、きちんと社会を見て、かかわっていける本県農業の担い手を育てていきたいですね」。
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