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青森県・東奥日報『農村の知恵、技、人をつなぐ仕掛け役』
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 7月下旬、青森県弘前市百沢の岩木山ろくにあるペンション・農家レストラン「ル・カルフール」に、同市近郊の自営業者の家族による親睦(しんぼく)旅行の一行が、立ち寄った。ホストの田村えり子さん(53)は、自家農園で栽培したラベンダーを使ったせっけん作りや、リンゴの木を使った小物づくりを楽しむ体験メニューを用意して来訪者を待っていた。
 「ラベンダーは日に焼けた皮膚の回復にも効くんですよ」などと声をかけ、体験の手ほどきをする田村さん。来訪者がゆったり過ごせる時間をさりげなく演出した。
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身近な花や木などを使った手作り体験の
メニューを用意し来訪者を受け入れる
田村えり子さん

 田村さんは、オーナーで夫の義夫さん(54)とペンションを経営しながら、両親、きょうだいとともに、リンゴ園、ハーブ・薬草園、釣り堀などの経営を手がけ、農業と観光を結ぶグリーンツーリズムの実践者として知られる。
 グリーンツーリズムコーディネーター、ハーブコーディネーター、NPO法人北のまほろばグリーン・ツーリズム支援ネットワーク理事長、弘前里山ツーリズム研究会事務局と対外的な活動も多い。そのわけを「グリーンツーリズムは、人とつながり、地域の情報をとらえ、地域まるごとで取り組まないと、結果的にお客さまの要望に応えられないから」と語り、フル回転の日々だ。
 自然と親しみたい、収穫体験をしたい、旬の地場産品はどこで手に入るのか。田村さんは、来訪者の多彩な要望に応える窓口となり、地域の受け入れ農家をつなぎ、滞在プログラムをコーディネートする。
 そこで力となるのが、農村ならではの暮らしの知恵や技、楽しみを知る地元農家の女性たちとのネットワークだ。
 例えば、身近な自然素材を使った手作り体験では、素材を融通し、アイデアを提供し合う。滞在プログラムを充実させるため「みそ造りを習いたい」「干しもちづくりを学びたい」と農家側から声が上がると、田村さんが地域の“名人”を発掘し、講習会を仕掛ける。来訪者の受け入れの際には、学び合ったことを活用していく。
 「人がつながると情報が入る。新しいアイデアも生まれ、もっと知りたいという欲もわいてくる」と田村さん。
 活動は地元にとどまらない。北東北広域連携推進協議会の事業で、食を通じた活動で輝いている女性を青森、秋田、岩手の3県から100人リストアップ。一冊にまとめ、情報発信するプロジェクトも進行中だ。そのリーダー役も担う。
 農家に生まれ育ったが、体育教師の経験も。「人の輪をつくり、みんなが元気になる仕掛けをするのが好き。農家の女性が持っている力を引き出し、輝く場をつくりたい」と奔走する。
 県農林水産政策課によると、県内の女性農業者による起業数は2006年度で283件と前年より20件増加、年間売上額も43億円と前年より3億円増え、年々増加傾向にある。
 大きな要因は、近年、道の駅などを中心に、各地に農産物直売所ができ、女性グループを中心とした産直活動が活発化したことが挙げられる。加工品製造で起業する動きにもつながった。
 直売所で消費者との交流が生まれると、新たな傾向として農家レストランや農家民宿の経営に、女性が主体的にかかわる動きも出てきた。「東北新幹線新青森駅開業を意識した取り組みも増えている。観光農業分野で女性が活躍できる可能性は大きい」と同課。
 一方で「起業数が増えると当然競争が起きる。生き残るためには独自色を出すなど経営努力も求められる。『起業』から、事業として継続可能な『企業』へ、ステップアップできるかどうかが課題」と指摘する。
 女性の農業経営参画を、家族経営協定締結農家戸数でみると、06年度実績で632戸と前年より112戸増加。女性認定農業者数も、191人と前年より104人増えた。女性リーダーとして県が認定するViC・ウーマンは371人が活躍している。農業の担い手が減る中で、地道に足場を築く女性農業者の姿がうかがえる。
田村えり子さんが、事務局を務める弘前里山ツーリズム研究会は、弘前市のグリーンツーリズム実施団体が連携して組織。都市と農村の交流体験を受け入れている。問い合わせは、ル・カルフール内の田村さん、電話0172(83)2324。
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